古着屋・雑貨屋・カフェなどが雑多に建ち並び、週末ともなると曲がりくねった路地に若者が溢れかえる町「シモキタ」。その路地をさらに曲がり奥へ進むと、緑の生い茂る広い庭のある2階建ての住宅にたどり着く。この木造在来の2世帯住宅が今回の計画建物。計画はこの住宅のリノベーションである。この住宅は築25年以上経過しており、その間の改修の繰り返しにより、狭い廊下が曲りくねり、家全体が「シモキタ」化してしまっているようであった。依頼は、その家の2階に住む子世帯でからであった。
  ■依頼与件
・現状2DKの間取りを3LDKにしたい。
・2階へ直接入れる玄関を設けたい。
・1階の親世帯は住んだまま工事をしたい。
・天井が高く、明るい空間にしたい。

― 子供の成長により、間取りにズレが生じている
― 世帯による生活時間帯のズレが生じている
― 天井が低く、入り組んだ暗い部屋をなんとかしたい
― 高齢のため、引越しなどの労力をかけたくない
 

■計画
1、既存調査の上、構造的に残すべき柱・梁を判断し、屋根・外壁を残し内部を全て解体する。
2、水廻りを含め、間取りをドラスティックに変更する。
  1階に住みながらのため、配管工事等も全て2階床上から行う。
3、日当りのよい南側に広いLDKを配置する。LDK部分天井は既存梁を現しにし、天井を高くする。
4、個室と水廻りは北側に配置し、LDKとは欄間で繋ぐことにより、
  採光・通風を確保すると同時に空間に広がりを与える。
5、窓廻りは、既存のサッシが隠れるところまで、内壁を伸ばし、空を切り取る。
  伸ばした内壁の外側はブラインドボックスとし、窓廻りをすっきりと見せる。
6、LDKの南側は、内壁を押し開くように庭に向かって大きく口を開ける。
7、ここには全開口の折戸を設け、余すところなく、庭の緑を取り込む。
8、内部の床を連続させるように、緑に向かってテラスを突き出す。
9、そこは、新たな玄関であり、螺旋階段から、緑の中のブリッジを渡り、アプローチする。

つぎはぎだらけの「シモキタ」化した家からの脱却なるものを目指していた。表層の刷新ではなく、またホコロビのツギハギや、ツケタシではない家を。内部が次々連続し、外部に向かって押し開き、空や緑までも一体化する場所を。